メンズエステ経営者にとって、従業員の給料をいくらに設定するかは悩ましい問題ではないでしょうか。
それもそのはず、売上と支払う給料のバランスや水準の釣り合いが取れていなければ、たちまち経営難に陥ってしまうのです。
この記事では、「メンズエステ従業員の給料の決め方」について詳しく解説します。
セラピスト・内勤スタッフの給料相場から決め方、給料を決める際の注意点までご紹介しています。
メンズエステを開業を検討中の方はもちろん、すでにメンズエステ経営をしている方もぜひお役立てください。
目次
メンズエステ業界の基本的な給料体系
メンズエステの給料形態って何が主流なの?
結論から申し上げると、メンズエステ業界における基本的な給料体系は「時給制」と「歩合制」の2種類です。
なお、セラピストと内勤スタッフで体系が異なる場合がほとんど。以下で詳しく解説していきます。
セラピストは歩合制で日払い
メンズエステ業界においてセラピストの給料体系は、「歩合制」を採用しているお店がほとんど。
歩合制は主に販売系、営業職やタクシードライバーなどといった職種でも採用されています。
メンズエステセラピストにおいても、個人の能力や働きが店舗の利益に大きく影響します。その点では、他業種と同様に実力主義の職種だと言えるでしょう。
なお、歩合制はセラピストの成果や売上に応じて報酬を支払うシステムです。詳しい特徴は以下の表をご覧ください。
メリット
・優秀な従業員のモチベーションを持続させやすい
・効率的に高生産性が望める
デメリット
・不安定な収入による早期離職の可能性
・成果が低い従業員による長時間労働の可能性
また、支払い方法は「日払い」が多い傾向にあります。
中には「週払い」「月払い」のお店もありますが、少数派だと言ってよいでしょう。
自身の頑張りが給料に反映されやすく、かつすぐに手元に入る点は、学生やWワーカーにとって魅力的な仕組みだと言えます。
内勤スタッフは月給制で月払い
セラピストとは逆に、内勤スタッフは基本的に正社員登用となります。
そのため給料は「月給制」/span>である場合が多い傾向です。
したがって月払いでの支給となりますが、日払いに対応しているお店もあります。
なお内勤スタッフにはそれぞれポジションがあり、就業形態や給料幅が変わります。詳しくは以下の通りです。
月給制の内勤スタッフは、歩合制のセラピストのように実力主義ではなく安定した収入が見込めます。
とはいえ、売上や業績次第では「大入り手当」や「インセンティブ」が支給されるケースも珍しくありません。
基本給以上を稼げる仕組みの有無は、従業員のモチベーション維持に大きく関わってくると言えるでしょう。
セラピスト・内勤スタッフの給料の決め方
メンズエステ経営において、セラピスト・内勤スタッフといった従業員の給料をどう決めるかは非常に重要なポイントだと言えます。
何故なら、店舗の利益に大きく影響する部分だからです。
きちんと注意点を考慮して給与を決定しないと、経営自体が立ち行かなくなってしまう可能性も。
以下で詳しく見ていきましょう。
業界の給料相場を参考にする
第一に、同エリアにある同業他店の給料を参考に設定するのは欠かせません。
具体的な理由は以下が挙げられます。
上記のようなデメリットは、当然人材獲得の難航や人件費の高騰につながります。最悪の場合、廃業に追い込まれる可能性も否めません。
このような不利益を防ぐためにも、まずは事前にエリアの給与相場をチェックしましょう。
求人ポータルサイトで検索すると簡単に確認できます。求人内容を元に、セラピストと内勤スタッフの給与平均を算出するとスムーズです。
この平均額を踏まえた上で、実際の給与を決定しましょう。平均もしくはやや高めに設定するのがベストです。
なお具体的な給料相場についてはセラピスト、内勤スタッフとそれぞれ後述します。併せてチェックしてみてください。
福利厚生・手当などを考慮する
給与設定において、手当や福利厚生について加味するのも重要だと言えます。
従業員における福利厚生や手当は、給与の一部や経済的負担の軽減と同義です。
従業員の満足度は高くなりやすいでしょう。
しかし経営側からすると、高額な手当はもちろん、手厚い福利厚生や社会保険の負担などが重なれば当然財務的な負荷が高まります。
したがって上記の制度を設けるのであれば、支出面も踏まえて上手く整備する必要があるのです。
なお、メンズエステにおける主な手当や福利厚生は以下の通りです。
表はあくまで一例です。店舗や雇用形態によって異なります。
ぜひ参考の上で、給与とのバランスを鑑みた上で検討してみてください。
残業や有給を考慮する
給与を設定する際は、残業や有休の発生による支給分も考慮しておかなければなりません。
特に、正社員の従業員においては大きく関わるポイントです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
残業発生による支給分
有給休暇発生による支給分
上記のように、残業と有給休暇で発生した金額についても人件費となります。
この支給分を考慮せずに給料を設定してしまうと、後々足が出てしまいかねません。
なお残業代については、あらかじめ「みなし残業」として組み込むのも手です。
残業と有給休暇の影響を考えたうえで、適切な給料設定をおこないましょう。
最低賃金を下回らないようにする
経営者からすれば、なるべく従業員の人件費は抑えたいものです。
とはいえ、法律で定められている最低賃金を下回るのは回避せねばなりません。
何故なら「最低賃金法」によって、賃金の最低限度額が定められているからです。違反すると当然罰金・罰則の対象になります。
したがって、経営者は従業員へ最低賃金以上の給料を支給する必要があるのです。
厚生労働省によって「地域別最低賃金」が制定されていますので、まずはこちらを参照の上で給料を決定するのがベターでしょう。
地域別最低賃金(令和6年度時点)
引用:令和6年度地域別最低賃金改定状況(厚生労働省)
月給の最低賃金算出方法
・月給額÷平均所定労働時間数(1か月)≧最低賃金額
例)月給20万/168時間勤務(1日8時間×22日)の場合 200,000÷168=1,190.5
⇒時給1,200円程度
=上記エリアでは上回っているので問題なし
上記のように、設定した時給や算出した賃金と地域別最低賃金とを比較し、下回らないよう注意してください。
なお、地域別最低賃金は毎年改定がおこなわれます。求人募集をおこなう際は事前のチェックが必須です。
業務委託契約となるセラピストは上記に該当しません。こちらも併せて留意が必要です。
前職の給与や経験を考慮する
前職の給与や、これまでの経験を考慮して給料を決定するのも大切です。
求職者は、基本的に前職の給与や待遇と比較検討をおこなう場合がほとんど。
特にメンズエステ業界の勤務経験者はなおさらです。より自分のスキルを買ってくれる店舗で活躍したいと思うのは当然でしょう。
そのため魅力的な業務内容や待遇であっても、前職の給与水準や待遇を下回っていれば応募には繋がりにくいと言えます。
したがって迅速な人材確保のためには、前職の給与額以上の金額を提示するのが効果的なのです。
応募者の前職での給与を参考にした上で、納得のいく金額に設定するのがベストでしょう。
メンズエステの料金相場まとめ
メンズエステにおける給料・料金相場をまとめました。
・地域別
・バック額
・雇用形態
上記の項目ごとに分けていますので、それぞれ参考にしてみてください。
地域別のセラピストの給料相場
あくまで目安にはなりますが、地域別のセラピストの給料相場は上記の通りです。
東京や大阪といった都市部に近づくにつれ、高バック率になる傾向があります。
人口密度が高いエリアは、集客・売上が共に望めます。したがって、従業員へ支払う給料も比例して高めに設定しておくべきでしょう。
指名・オプションバックの相場
メンズエステではコース料金とは別に、指名料やオプション料に対してもバックが発生します。以下は各料金相場とバック率の相場目安です。
なお、主な傾向はそれぞれ以下の通りです。
上記の料金相場やバック率は、セラピストへ支給する給与額に大きく関わってきます。事前に把握しておいて損はないでしょう。
内勤スタッフの給料相場
内勤スタッフの給料相場は、正社員・アルバイトとそれぞれ上記の金額となっています。
前述のように、内勤スタッフはポジションによって給与額が変動します。
各ポジションにおけるスタッフ雇用人数については、財務・業務状況を踏まえて見極める必要があるでしょう。
正社員とアルバイトを上手く配置するのも手です。
給料を決める際に知っておきたいこと
従業員の給料を決める際に、事前に知っておきたいことをご紹介します。
無用なトラブルを避けるためにも、あらかじめ頭に入れておくのがおすすめです。ぜひ最後までご覧ください。
昇給制度を設けるメリット・デメリット
従業員の昇給制度を設ける際には、まず以下のメリットとデメリットについて把握しておく必要があります。
メリット
従業員のモチベーションの維持や定着率に良い影響がある
デメリット
人件費が増加する
昇給制度は必ずしも設けないといけないわけではありません。たとえ昇給なしであっても、違法ではないためです。
とはいえ優秀な人材を定着させることは、キャリア形成ならびに売上を立てるために必要不可欠と言えます。
そのため、人件費が多少かさんだとしても昇給制度を設けておく方が将来的には安牌でしょう。
その際は、経営上無理のない範囲での昇給プロセスを設定するのがおすすめです。
人件費は売上の50%が目安
人件費は売上の50%を目安にするのがベストです。
人件費の設定において、「売上高人件費比率」という考え方があります。
売上高人件費比率(%)=人件費÷売上高×100
業種によって変動はありますが、13%前後をアベレージとする企業が多い傾向にあります。
とはいえ、一般的にメンズエステの人件費の目安は売上の50%とされています。つまり人件費が100万円の場合は、月間売上は200万円必要というわけです。
売上の半分は人件費ですから、かなり高めだと言えるでしょう。
なお、売上から賃貸料や備品代といったランニングコストを引いた分が営業利益となります。上記の売上の場合、おおむね50万円ほどが目安です。
経営者側からすると、なるべく人件費削減を図りたいところ。とはいえ当然ですが、メンズエステはセラピストありきで成り立つ仕事です。
上記の水準を保つことで、将来的にセラピストの定着率や売上にポジティブな影響を与えるのも事実なのです。
経営状況をしっかり見極めつつ、人件費や従業員数を調整・設定するようにしましょう。
給料は簡単に変更できない
一度設定した給料は、容易に変更できません。
そもそも、従業員と経営者は労働契約法に基づき「労働契約」を結びます。
働契約法第八条
「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」
引用:厚生労働省「労働契約法」
上記記載の通り、会社と従業員双方の合意がなければ労働条件の変更は不可能なのです。
そのため売上が減少し赤字が続いたとしても、経営者の一存で給料の減額をするのは違法となります。
したがって、特に給料については慎重に検討する必要があります。
まとめ:メンズエステ従業員の給料は慎重に決定すべき
メンズエステ従業員の給料の決め方について解説しました。改めて、押さえておくべきポイントをおさらいしましょう。
メンズエステに限った話ではありませんが、経営側にとって従業員の人件費は非常に重要なコストです。
考えなしで決定してしまうと、後々資金繰りに苦労する可能性も否めません。
最初のうちはなかなか利益が出ないかもしれませんが、従業員のモチベーションやスキルを優先しておけばおのずと結果がついてくるはずですよ。
従業員の給料について決めかねている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
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