メンズエステの市場規模はどれくらい?業界の売上高と媒体データを基に解説

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ニーズの増加にともない、年々市場規模を拡大しているメンズエステ。

「市場に新規参入するなら絶好のタイミングなのでは?」と考える方もいるでしょう。

そこでこの記事では、メンズエステの市場規模や業界の動向について詳しく解説します。

メンズエステ市場の今後の課題や経営の重要ポイントも掘り下げていくので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

事業者売上高で見るメンズエステの市場規模

メンズエステ業界は、今後も需要が見込める成長市場と言っても過言ではありません。

このトピックでは事業者売上高の推移から、エステ業界全体の市場規模とメンズエステ市場の詳しい展望を明らかにします。

エステ業界全体の市場規模はマイナス推移

以下の表は、エステ業界全体における市場規模の推移を示したデータです。

(百万円、%)

2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度(見込) 2024年度(予測)
市場規模
(事業者売上高)
361,680 339,000 328,500 316,300 313,900 313,300
前年比
グロース率
100.4 93.7 96.9 96.3 99.2 99.8

”注1.事業者売上高ベース
注2.2023年度は見込値、2024年度は予測値
注3.エステティックサロン市場には、国内の店舗型エステティックサロンが提供する施術(美顔、痩身・ボディ、脱毛、メンズエステ)と付帯する物品販売・その他サービスが含まれる。なお、セルフエステ、訪問エステ、理美容エステ、メディカルエステなどは対象外としている
注4.市場規模を2020年度に遡って再算出したため、過去の公表値と一部異なる。“

引用・出典:矢野経済研究所「エステティックサロン市場規模推移」

上記を踏まえると、2023年度にかけてエステ業界全体の市場規模はマイナス推移となる見込みです。

なお、各分野の内訳は以下の通りです。

女性向け市場

・フェイシャル
・痩身
・脱毛 など

男性向け市場

・メンズエステ

物販市場

・サービスに付帯する物品販売

メンズエステ市場は前年度比102.5%の162億円、物販市場は前年比100.1%の993億円といずれも右肩上がりです。

一方、女性向け市場は6割超を占める中、売上高は前年比98.6%の1,984億円とやや落ち込む結果となっています。

原因として、2022・23年度と大手脱毛サロンの破産・閉店が相次いだことが挙げられるでしょう。

過去最多の倒産件数を記録しており、業界自体に大きな影響を与えています。

とはいえ、2020年度から2022年度に流行した新型コロナの影響で業界全体の売上高は一時低迷したものの、伸び悩みは緩和傾向に。

コロナ禍が明けた現在、エステ業界全体の売上高はさらに回復が望めると言われています。

メンズエステの市場規模はプラス推移

メンズエステ市場の推移は、2023年度の時点でプラスの見通しとなっています。

市場拡大の背景としては、男性の新規客増加に起因しています。

コロナ禍に伴う運動不足やリモート会議によって、自身の容姿を見つめ直す機会が増え、美容意識の高い男性がメンズエステへ関心を寄せました。

実際に、肌質改善やダイエット目的の新規顧客が増加

こうした男性の美容意識の高まりに比例し、男性向けの美容脱毛市場も成長しています。

メンズエステで脱毛の施術メニューを取り入れるのも、顧客拡大のチャンスにつながるかもしれません。

エステ業界全体の市場規模は売上高で見るとマイナスではありますが、メンズエステ業界の未来は明るいと言えるでしょう。

媒体データで見るメンズエステの市場規模

ここではメンズエステ集客媒体大手の『エステ魂』のデータを基に、市場規模や業界の動向を推測して解説します。

予約数の推移

以下のグラフと表は『エステ魂』における予約数の推移です。

集客時期 予約数
’21年第2四半期 32,796
’21年第3四半期 31,424
’21年第4四半期 37,935v
’22年第1四半期 62,282
’22年第2四半期 64,364
’22年第3四半期 66,530
’22年第4四半期 77,034
’23年第1四半期 80,849
’23年第2四半期 99,111
’23年第3四半期 102,332
’23年第4四半期 112,890
’24年第1四半期 114,781

出典:エステ魂「集客実績」

メンズエステの予約数は、ほぼ右肩上がりの推移となっています。

大きな要因としては、新型コロナの感染防止対策が緩和された点が挙げられます。

’22年第1四半期はまん延防止等重点措置が解除され、メンズエステを含む事業者の営業制限が一時落ち着きを見せました。

’23年第2四半期にはWHOが緊急事態の宣言を終了し、日本における新型コロナが5類感染症の位置づけに移行。

自粛の負担が軽減された影響で、顧客の消費志向が高まったのです。

また男性客の増加だけでなく、新規客がリピーター化している点にも留意すべきでしょう。

男性は一度経験したサービスへの継続意思が強まりやすく、費用をより多く投じると言います。

したがって今後も予約数は右肩上がりで推移していくと考えられるでしょう。

電話数の推移

集客時期 予約数
’21年第2四半期 103,175
’21年第3四半期 151,269
’21年第4四半期 162,492
’22年第1四半期 267,951
’22年第2四半期 323,702
’22年第3四半期 281,741
’22年第4四半期 342,087
’23年第1四半期 557,566
’23年第2四半期 735,265
’23年第3四半期 1,015,777
’23年第4四半期 3,711,467
’24年第1四半期 6,746,040

出典:エステ魂「集客実績」

上記は『エステ魂』における電話数を示したデータです。

’23年第4四半期や’24年第1四半期には、爆発的な電話数の増加が見られます。

新型コロナの収束後に、これまで自粛していた層がメンズエステ利用へ前向きとなった結果だと言えます。

とはいえ競争の激化やネット上での予約システムの需要が高まっていることから、電話数は落ちついていくと考えられるでしょう。

こうした新規客の中長期的な定着を狙うためにも、集客施策やサービスの質の向上は必要不可欠。

今後は売れるセラピストの育成やユーザーニーズの見直しなどを図り、売上の安定化へと繋げていく必要があるでしょう。

新規会員登録数の推移

集客時期 予約数
’21年第2四半期 3,797
’21年第3四半期 5,245
’21年第4四半期 5,052
’22年第1四半期 7,291
’22年第2四半期 7,164
’22年第3四半期 7,097
’22年第4四半期 7,612
’23年第1四半期 7,617
’23年第2四半期 8,112
’23年第3四半期 7,569
’23年第4四半期 7,247
’24年第1四半期 7,807

出典:エステ魂「集客実績」

上記のデータは、『エステ魂』新規会員登録数の推移です。

やや横ばいの数値となっていますが、長い目で見れば新規会員登録者数は大幅な増加傾向と言えます。

’22年第1四半期は新型コロナ第6波が到来した一方で、感染防止対策が緩和されました。

リバウンド需要でメンズエステに客足が戻り、新規客の流入も増加したと言えます。

また、2022年度はメンズエステの摘発ラッシュがありました。

SNSやニュースを通じて、業界の知名度が上がった経緯も影響しているでしょう。

したがって新規会員登録者を増やすためには、広告媒体の活用やPR戦略によるプラスイメージの店舗周知が肝となります。

メンズエステ市場に新規参入する難度は低い

メンズエステ市場は比較的新規参入しやすいでしょう。

メンズエステの開業を検討している方は、ぜひ下記の項目をチェックしてみてください。

開業・経営に特別な資格や許可は不要

開業に際して特別な資格や許可が不要なため、メンズエステ市場に参入するハードルは低いと言えます。

一般メンズエステはリラクゼーションの提供がメインの目的であり、法律上の区分は風俗店ではありません。

セラピストへマッサージの国家資格も基本は要求されず、採用からサービス提供までの手間が比較的かからない傾向。

また営業時間や採用基準に大きな制限がないため、開業準備や資金繰りも比較的スムーズに済みます。

しかし風俗営業許可申請を通す必要がない分、風営法に違反しないよう注意が必要です。

摘発リスクを低減するためにも、従業員への教育や目的意識の統一といった健全な営業を心掛けましょう。

初期費用を抑えられる実店舗型ビジネス

メンズエステの開業は、初期費用を抑えやすいのもメリットのひとつ。

開業資金は最低100万円から200万円と言われています。

具体的な内訳は物件契約費、インテリア代、備品代、広告費、ホームページ制作費など。

コンセプトにこだわったとしても、内装工事の坪単価は最低15万円からが目安です。

非常に低コストで開業できるため、少額の自己資金で副業的にメンズエステ市場へ参入する事例も少なくありません。

ただし、開業後は家賃や人件費、光熱費、雑費といったランニングコストが発生します。

維持費を賄えなければ、当然廃業は避けられません。

開業後にすぐお店を畳む結果となれば、100万円以上が水の泡です。

不利益を被らないためにも、毎月の運転資金は150万円程度と見た上で、開業後のシミュレーションをしておくのがおすすめです。

規模が拡大するメンズエステ市場の今後

2024年度現在もメンズエステ市場は上向きの推移です。

新規参入には絶好のタイミングと言えるでしょう。

そこで、本章では市場規模の拡大に伴う経営の課題や今後の展望を解説します

市場規模の拡大=競争の激化

市場規模の急速な拡大によって、メンズエステ業界では競争が激化しています。

狙い目のビジネスとして新規参入する経営者が増え、現状は全国各地でメンズエステ店が飽和状態。

競争に負けたメンズエステは廃業を余儀なくされており、他店との差別化も難しい状況です。

生き残るには、さらなる競合優位性の獲得が不可欠

例えば近年では、ChatGPTを活用したマーケティングリサーチが差別化の追求に効果的と言われています。

そのため開業の立地選定やブランディングの独自性だけでなく、サービスクオリティの担保やマーケティング戦略の工夫なども求められるでしょう。

激しい競争を生き残り利益を生み出し続けるためには、常に時代に合った戦略を模索し続ける必要があるのです。

広告・PRの重要性は変わらず手法が多様化

メンズエステ業界では依然としてオンライン広告が主流 です。

しかし、競合店と差別化を図るため、広告・PRの手法が多様化しつつあります。

なぜなら市場の飽和によって開業初期の顧客獲得が困難であり、より有効な集客方法の模索が必須となったからです。

集客課題の解決には、インターネットやSNS上での広告運用で差をつけるのは必須です。

例えば、ネット予約の導線を明確にすれば、顧客の利便性向上や効率的な顧客管理が可能となります。

今後は大手集客媒体への広告掲載や公式サイトの整備が、メンズエステ経営の命運を分けるカギとなるでしょう。

人材の確保・流出が課題になる可能性

メンズエステ業界では一定の需要を保つ一方、深刻なセラピスト不足が課題です。

競争の激しい市場では質の高い人材確保が難しく、競合とセラピストの取り合いになってしまいます。

さらにセラピストの多くは女性であり、ライフスタイルの変化によって長期的な雇用ができないケースも。

優れたスキルを持つ人材を店舗へ引き留めるには、採用や育成の戦略を練る必要があるでしょう。

そのためには求人広告の工夫や待遇、環境の良好性をアピールするといった他店との差別化が要になってきます。

まとめ:メンズエステは今後も需要が見込める市場

メンズエステの市場規模は拡大の一途を辿っており、今後も需要が見込めます。

特別な資格や許可が必要なく、初期費用も低コストなため、メンエステの開業は比較的容易でしょう。

しかし、新規参入の増加によって競争が激化し、店舗の開業数だけでなく廃業数も増えつつあります。

競争の厳しい市場で生き残るには、他店との差別化が不可欠です。

例えば、オンライン広告を活用したマーケティング戦略や優秀な人材確保など、集客・求人両方向からの地固めをおすすめします。

この記事で解説した市場規模の動向と今後の見通しを参考に、競合に負けないメンズエステ店を目指しましょう。


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