近年、男性をターゲットとしたエステサロンである「メンズエステ」が増加傾向にあります。
若年層だけでなく、幅広い年代の男性から注目を集めており、その需要はどんどん高まりを見せています。
「メンズエステは初期投資が抑えられる」と聞いて、開業を考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなメンズエステの開業に必要な資格・届け出や、開業資金の目安、失敗を防ぐポイントについて詳しく解説します。
開業しやすい業種とは言っても、知識がゼロのまま手ぶらで営業をスタートできるわけではありません。知らなければいけないこと・知っておいたほうがお得なことなど、開業に関する知識は付けておいて損はないでしょう。
準備を怠っていたために経営が上手く回らない、シミュレーションが不十分で赤字が続く……など開業しやすいがゆえに陥ってしまう罠もあります。
この記事を最後まで読んで、メンズエステの開業を成功に導く準備をしましょう!
目次
メンズエステが開業しやすいと言われる理由
メンズエステは、デリヘルなどの風俗業種の開業に比べて圧倒的にハードルが低く開業しやすいと言われています。
その理由には様々なものがありますが、主な理由がこちら。
- 経営者もセラピストも資格が不要
- 必要な手続きが少ない
- 開業資金が少なく済む
学歴や経験、資格の有無に関わらず開業することができ、開業のための資金も少なく済むのがメンズエステ。
以上の理由から、他の業種に比べてメンズエステは開業しやすいと言われています。
メンズエステは特別な資格がなくても開業できる
メンズエステを開業するのに、特別な資格は必要ありません。
一般のメンズエステで提供するサービスはマッサージによる癒やしであり、病気の治療や予防を目的とする医療行為に該当しません。よって、開業にあたって特別な資格は必要ないのです。
また、提供する施術がマッサージの範疇であれば働くセラピストも特別な資格は不要。
もちろん資格を持っているセラピストはマッサージに対する造詣が深いのは間違いなく、それが癒やし目的のマッサージに活きる可能性もあります。
しかし資格は必須条件ではなく、18歳以上(高校卒業済み)であれば基本的にどんな女性でも雇って大丈夫なのです。
医療行為ではないため広告NGの内容がある
開業および営業にあたって特別な資格は要らないメンズエステですが、だからこそHPを作成する時や広告を掲載する際は注意しないといけません。
なぜなら、医療行為を提供していない以上、医療行為に該当するような効果は訴求できないからです。
例えば疾病や病状の改善を謳う文言をHPや広告に盛り込むのはNGなので、作成の際は気にかける必要があります。
NG例 | OK例 |
体の歪みを治療して腰痛や肩こりを改善できる! | 癒やしのオイルトリートメントを体験できる! |
医療行為に該当するような文言をHPや広告で掲載してしまうと、医療法違反となり行政による立ち入りの検査や罰則の対象となるリスクがあるので注意しましょう。
“第六条の八 都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関する広告が第六条の五第一項から第三項まで又は前条の規定に違反しているおそれがあると認めるときは、当該広告をした者に対し、必要な報告を命じ、又は当該職員に、当該広告をした者の事務所に立ち入り、当該広告に関する文書その他の物件を検査させることができる。”
引用:厚労省 医療法
開業を考えている方は、一般的なメンズエステが医療行為に該当しない癒やし目的のサービスを提供する業種であることをしっかりと頭に入れておくことが大切です。
メンズエステの開業で必要な手続きは開業届だけ
お店を新規オープンする際は、面倒な手続きや作業がたくさんあるというイメージが一般的ですよね。
しかしメンズエステを開業する場合、必要な手続きは税務署に開業届を提出するだけです。
そして開業届を提出する際は、最大65万円の控除を受けられる青色申告承認申請書の提出も忘れてはいけません。
これらの書類は提出するための費用がかからず作成も簡単ですが、開業前は諸々の準備で忙しく忘れがちなので気を付けましょう。提出期限は以下の通りです。
書類 | 提出期限 |
開業届 | ・事業開始から1カ月以内 |
青色申告承認申請書 | ・事業開始より2カ月以内 ・青色申告を適用する年の3月15日まで |
一方でメンズエステの法人化をおこなう場合、法人設立届出書をはじめとする各種書類の提出が必要です。ただし一般的に法人化を検討するのは事業所得が年間500万円超えるケースが目安となります。
これは会社設立による節税のメリットがあるためですが、個人事業主としてメンズエステを開業する予定の方は意識しなくて大丈夫です。経営が軌道に乗り、事業規模を拡大していく段階で検討してみましょう。
さらに午前0時以降の営業をおこなっている店舗も多いメンズエステですが、深夜営業する場合も特別な許可は必要ありません。好きな時間に営業可能です。
ただし、マッサージのサービスに加えて一定のサービスも併せて提供する場合、形態に応じて以下のような各種手続きを履行しなくてはなりません。
提供するサービス | 必要な手続き |
飲食物の提供 | ・飲食店営業許可・保健所の検査 |
午前0時以降の酒類提供 | ・深夜酒類提供飲食店営業届 |
お客さんが入店してセラピストを待つ間にお茶やお水などを提供する程度であれば、特別な届け出は不要です。
また一般のメンズエステは性的なサービスを提供しないので、風営法に関する許可も必要ありません。
自分がどのようなメンズエステを開業したいかによって、必要な許可や書類は変わります。忘れて営業していたら思わぬトラブルを招く可能性もあるので、開業前にしっかり確認しましょう。
メンズエステの開業資金は最低100万円~200万円
メンズエステの開業資金は最低でも100万円~200万円と言われており、実店舗を持つ業種としては比較的少額の資金で開業できます。
もちろんお店の規模感やエリアにもよりますが、最低金額がこのぐらいと認識していただければ大丈夫です。以下は費用の内訳と相場の目安となります。
費用内訳 | 相場 |
物件契約の費用 | 120万円~ |
備品・家具代 | 20万円~ |
広告費 | 30万円~ |
HP制作費 | 3万円~ |
合計 | 173万円~ |
メンズエステは特別な資格や許可が必要ない点に加えて初期投資の少なさも相まって、昨今は副業における選択肢のひとつとしても認知されてきています。
また、なかにはより少額な自己資金で副業としてメンズエステを開業したという以下のような事例もあり、工夫次第でコストを抑えられる業種と言えるでしょう。
“メンエスって全然初期費用がかからないんですよ。マンションを契約して、ホームページをつくるだけ。備品でいうとマットとオイルを買うくらいなので。物件の初期費用を安いところを選べば元手が50万程度あれば始めることができます。”
引用:日刊スパ 副業会社員が、50万円で開業・粗利は月40万円の意外なビジネスとは
「広告宣伝費」や「HP制作費・運用費」に関しては、プロに見積もりを出してもらうのが一番です。
メンズエステ経営ナビでは、おすすめの広告代理店やHP制作会社をご紹介しています。ご興味がある方は、ぜひお問い合わせフォームからご連絡ください。
風俗業種に比べ圧倒的に費用が安い
メンズエステ開業のために必要な費用は、デリヘルなどの風俗業種の費用に比べ圧倒的に安い金額になります。
下記は、初期費用の相場を比較したものになります。(※一例)
メンズエステ | 173万円~ |
デリヘル | 300万円~ |
なぜこんなにも違いが出るのかというと、一番大きな理由として、セラピストを送迎するための費用の有無が挙げられます。
メンズエステでは、セラピストを送迎するための費用が発生しません。それに対し、デリヘルなどの風俗店ではキャストをお客様のいるホテルなどに送迎する必要があるため、そのための費用を用意することになります。
初期費用 | 送迎用車両の購入費用 |
運営費用 | ドライバーの人件費 |
それに対しメンズエステは、マンションの一室を借りて営業することが多いため、セラピストの送迎のための車やドライバーが必要ありません。
ですので、デリヘルなどの風俗店に比べ、初期費用・運営資金共にかなりのコスト削減をすることができます。
1円でも安く開業資金を抑えるためのコツ
この項では、よりコストを下げて開業資金を抑えるためのコツについて解説します。
初期投資が少ないとは言っても、相応の準備は必要です。少しでも費用を抑える方法を知っておいて損はないでしょう。
自宅でメンズエステを開業する
開業資金を抑える最たる手段は、自宅でメンズエステを開業するというものです。
金銭面において店舗型業種の一番のネックは家賃と言っても過言ではないでしょう。敷金・礼金の初期費用に加え、固定費で毎月一定金額支払わなければならないのは、当たり前ですが大変です。
しかし自宅を利用すれば、それらを全て浮かせられます。さらに部屋を借りる際の手続きも一切必要ないので、事務的な面でも負担は減るでしょう。
もちろん自宅でメンズエステを開業するに際しては、多少の内装工事をおこなわないといけません。あまりにプライベートな空間だとお客さんの居心地が悪くなりますし、そもそも来店してもらえない可能性があるからです。
そのため、壁紙やインテリアなどお客さん目線で改装したり、メンズエステらしい雰囲気を作ったりする必要があります。
内装工事は多少のコストがかかりますが、部屋を借りるのに比べればかなり安上がりなので、どうしても開業資金を抑えたい方におすすめです。
知人や同業者から不要な備品を仕入れる
知人や同業者から不要な備品を仕入れられれば、開業資金をかなり削減できます。
メンズエステを閉店しようとしている知人がいる場合は相談してみましょう。大量に備品を抱えており、処分に困っているかもしれません。
例えば、メンズエステを経営するにあたって必要な洗濯機は、中古でも問題ありません。大型家電なので、処分に困っている知人や同業者がいれば、譲渡してもらうことにお互いメリットがあるのです。
塵も積もれば山となると言うように、細かい物を含めれば備品の仕入れは思いのほか費用がかかります。知人や同業者に連絡を取って、不要なものがあれば譲ってもらいたい旨を交渉してみましょう。
なお日々の営業で消費するのが「業務用オイル」です。これらは複数の種類があり施術に対する向き・不向きもあるため、オイルはどちらかというと慎重に選定した方が良いでしょう。
自店のホームページを自作する
メンズエステの開業後、効果的な集客を図るにあたってホームページの作成は必要不可欠。しかしプロに依頼をすると相応の費用がかかります。
制作会社に依頼する場合、内容にもよりますがだいたい20万円~30万円が相場です。
開業資金を抑える上では、ホームページの自作も検討するべきです。
もちろん手間がかかる点に加え、一般的にはプロに依頼するよりクオリティは下がってしまいますが、目安として20万円~30万円の節約になります。
ホームページは、無料の作成ツールを使えば専門的な知識や経験がなくてもそれなりのものを準備可能です。
スケジュールに余裕がある方は最初自作に挑戦して、厳しそうならプロに頼む形を取ってみるのも良いかもしれませんね。
集客や求人の広告費を切り詰める
メンズエステにおいて収益を上げるために、集客や求人の広告は必須であり一種の生命線とも言えます。そのため極力は避けるべきですが、これらの広告費を切り詰めるのもひとつの手です。
広告は集客および求人の要であるがために、資金を使ってしまいがちな面でもあります。切り詰めればかなりコストが浮くのは間違いありません。
現在はSNSでも自店の宣伝ができます。またSNSは基本的に無料なので、上手に運用できればコストをかけず集客や求人の増加を図れるでしょう。
ただし業界に特化した専門の媒体で広告を掲載した方が効果的であることは間違いありません。重要なのは、お店の規模感と合っているかどうかです。
開業するにあたって、広告費の費用対効果をしっかりと考えるのは大切です。どうしてもコストを削減したい場合、バランスを考えた上で検討してみましょう。
メンズエステ経営ナビでは、掲載費が安価・無料のプランが用意されている広告媒体をご紹介可能です。費用対効果の高い広告をお探しの方、まずは無料プランで反響を確認してから検討したいという方も、お気軽にご相談ください。
また広告の費用対効果を計算する際は、「ROAS計算式」を利用するのが一般的です。ROAS計算式は「売上÷広告費×100(%)」で求められます。
例として35万円の広告費で87万円の売上があった場合、計算式は次の通りです。 87万円÷35万円×100=248%
ROAS計算式で導き出た値は、100%を基準とした費用の回収率を表しています。つまり、上記例の場合は広告費1円に対して2.48円の利益が出ている計算です。
150万円前後の運転資金も確保しておくと安心
メンズエステを開業するにあたって、150万円前後の運転資金を用意しておくと安心でしょう。なぜなら、開業してからすぐにお客さんが来るとは限らないからです。
最初は知名度がゼロの状態からスタートするため、どうしても開業当初から売り上げを立てるのは難しいと言えます。
売り上げがなくても家賃・光熱費・人件費などは毎月発生するので、開業後のしばらくは赤字を覚悟する必要があるのです。
ある程度の運転資金を確保できていないと、すぐに資金がショートして経営が行き詰まる可能性があります。開業直後の厳しい時期を乗り越えるために、150万円前後の運転資金があると心強いでしょう。
準備をするに越したことはありません。リスクに対する備えは、どれだけあっても損ではないですよ。
費用内訳 | 相場 |
人件費 | ※売上の50%が目安 |
賃貸料 | ※物件の契約状況による |
水道光熱費 | ※物件の契約状況による |
消耗品費 | 10万円~ |
広告宣伝費 | 30万円~ |
HP運用費 | 1万円~ |
合計 | ※部分+41万円~ |
まとめ:メンズエステは開業後の先を見据えた経営が重要
メンズエステは特別な資格が不要で開業資金も少額で済むため、開業の敷居は低いと言われています。しかし、開業するのが簡単だからと言って、売り上げを立てていくのが簡単というわけではありません。
開業前の準備を怠った場合、思ったような集客が得られず開店してすぐ経営難に陥るリスクがあります。
メンズエステは比較的簡単に開業できるからこそ、投じた資金をできるだけ早く回収して事業を拡大するために先を見据えた経営が重要です。
メンズエステの開業を検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
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