メンズエステ経営において「料金設定」は、売上に直結する重要な要素です。
経営破綻を防ぐためにも採算が取れるように計算したり、ユーザーからの印象を考慮したりと戦略的に設定する必要があります。
本記事ではメンズエステ経営者に向けて、料金設定の考え方を解説。参考となる各種料金相場や料金設定をする際の注意点と合わせてご紹介しています。
メンズエステにおける料金設定にお悩みの経営者の方は、ぜひご参考にお役立てください。
メンズエステの利用・料金システム
メンズエス店では、オイルやパウダーを使ったマッサージサービスを中心に男性向けにリラクゼーションを提供します。
営業は大きく店舗型と派遣型に分かれており、お客さんが店舗やお店指定のルームに足を運んだり、ホテルや自宅などにセラピストを呼んだりして利用する流れです。
メンズエステ店においてかかる主な費用は、以下の6項目。
入会金 | 店舗の入会にかかる費用 |
指名料 | セラピストの指名にかかる費用 |
コース料金 | 施術にかかる費用 |
オプション料 | コースにないサービスを追加する場合にかかる費用 |
延長料金 | 利用時間を延長する際にかかる費用 |
交通費 | 派遣型の店舗においてセラピストの移動にかかる費用 |
支払う料金は上記となりますが、一部発生しない料金もあります。
メンズエステでは入会金を無料としている場合が多いです。加えてオプション料は利用者次第、交通費は派遣型の営業のみ発生する費用となります。
それぞれ詳しい料金の相場については、後述します。
またメンズエステの決済方法については、こちらの記事でまとめているので気になる方はご一読ください。
メンズエステの料金相場
本章では、メンズエステにおいて発生する主な料金の相場をご紹介します。
コース料金は店舗の価格帯によっても大幅に変わるため、大衆店・高級店に分けてまとめています。
ただし価格帯の他にも地域や店舗などによっても差が生じるので、あくまで目安として参考にしてください。
【大衆店】90分12,000~19,000円が相場
「大衆店」における通常コースの料金相場は、90分12,000円〜1,9000円程度。
一般的な所得の男性をターゲット層とするメンズエステ店の料金相場です。
大衆向けのメンズエステ店は特に数が多いことから、メンズエステユーザーが想定する利用料金の基準とも言えます。
もし通常コースとは施術内容の異なる複数のコースを設ける場合は、通常コースには含まれていないサービスを付加価値として料金設定を考えると良いでしょう。
【高級店】19,000円以上が相場
「高級店」における通常コースの料金相場は、90分19,000円以上。
大衆店より所得が高めな富裕層をターゲットとするメンズエステ店の相場です。
高級店はセラピスト・施術・内装などのあらゆる面で質が高く、料金設定に見合ったハイレベルなサービスが求められます。
在籍するセラピストのルックスやマッサージのテクニック、高級感漂う内装などを付加価値として料金設定を考えると良いでしょう。
コース料金を除いた相場
入会金 | 基本的に無料 |
指名料 | 0円~3,000円 |
オプション料 | 1,000円~3,000円 |
延長料金 | 30分6,000円 |
交通費 | 1,000円~3,000円 |
コース料金を除く、メンズエステにおいて発生する料金の相場は上記が目安となります。
オプション料は「ホイップ」「ディープリンパ」「施術着変更」などオプションの内容によって料金が異なるほか、交通費はセラピストを派遣するエリア・距離によってかかる費用が変わります。
一律ではない料金項目があるため、料金設定の際は注意が必要です。
メンズエステにおける料金設定の考え方
メンズエステ店における料金設定の考え方を解説します。
「どのように料金設定すればよいか分からない」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
売上目標から計算する
売上目標から逆算するのが、メンズエステにおける基本的な料金設定の考え方です。
まずメンズエステ店の営業では、採算が取れるようにあらかじめ月間の売上目標を立てておく必要があります。
「経費」「営業日数」「顧客数」「利益」などを考慮し、月間の売上目標を決めるのが一般的です。
例えば、経営者自身がセラピストとして働く人件費のかからないメンズエステ店において、月間30万円の利益を上げたい場合の売上目標は下記のようになります。
42万円(経費)+50万円(利益)= 92万円(売上目標)
家賃、光熱費、備品代、広告費など月々で支払うランニングコストを経費として考えると、月間30万円の利益を上げるための売上目標は62万円となります。
そして売上目標から、客単価を考えると以下の通りです。
- 3人(1日の客数)×27日(稼働数)= 81人(月間客数)
- 92万円(売上目標)÷81人(月間客数)=約11,400円(客単価)
1日の利用者数を3人、週休1日計算で月の稼働数を27日と仮定すると、客単価は約11,400円となります。
そのため料金設定の基準を11,400円に設定するというのが、売上目標から逆算する料金設定の考え方です。
ただしランニングコストはお店によって大幅に変わるし、想定通りに集客できるとは限らないことを前提として考えておきましょう。
またこちらの記事では、メンズエステ経営者の年収について詳しく解説しています。年収を上げる方法やポイントも紹介しているので、高収入を目指したい方はぜひご覧ください。
競合店に合わせる必要はない
同じ地域・価格帯のメンズエステ店であっても、料金設定を競合店に合わせる必要はありません。
なぜなら店舗によってランニングコストや売上目標が異なるため、他店に合わせて料金設定をすると採算が取れなくなる可能性があるからです。
また、集客の戦略として競合より安い料金設定にするのは避けるべきでしょう。
安易に客単価を下げてしまうと、より多くの客数を確保しなければならなくなります。
そうなると集客コストがかさんでしまうばかりか、競合と価格競争になってしまいかねません。
実際に客単価を下げたことにより失敗してしまったサロンの事例はいくつもあります。
安定したメンズエステ経営を目指すためにも、競合店に合わせて料金設定をするのは避けるべきです。
他にもメンズエステの失敗理由はこちらの記事でまとめていますので、開業志望者はぜひご一読ください。
独自のサービスを設けて値段を高めに設定する
料金設定をする際は、店舗独自のサービスを設けて値段を高めに設定するのが重要です。
メンズエステ店は飽和状態にあり、他店との差別化が必要不可欠と言われているのが現状です。
そのため他店にない独自のサービスを設けることは、差別化になるというメリットがあります。
また前述したように、安易に客単価を安くするのは経営に悪影響を及ぼす恐れがあり危険です。
そこで店舗独自のコンセプト・セラピストの質・施術・内装などを付加価値として高めに値段を設定すれば、差別化を図りつつ客単価を上げられるというわけです。
メンズエステ店のコンセプトについてはこちらの記事でも詳しく解説しているので、決め方やおすすめの例を知りたいという方はぜひご覧ください。
異なる値段のコースを複数設ける
価格の異なるコースを複数設けることで、ユーザーの利用を促進できる可能性があります。
心理学では松竹梅の法則と呼ばれる効果です。
例えば価格の異なる下記のメニューを用意したとします。
Aコース | 12,000円 |
Bコース | 15,000円 |
Cコース | 19,000円 |
中間の料金となるBコースを選ぶ人が心理的に多いというのが、松竹梅の法則です。
つまり最も促進したいコース料金を中間に据えるようにして複数のコースを設ければ、ある程度は客単価を調節できます。
そのため料金設定をする際には、低め・高めな値段で複数のコースを用意
すると良いでしょう。
想定した客単価を確保しやすくなり、経営が安定する可能性が高くなります。
端数・ジャストプライス価格にする
料金を端数・ジャストプライス価格にすることで、ユーザーの利用促進に繋がる可能性があります。
端数価格、ジャストプライス価格とは、それぞれ以下のような金額を指します。
端数 | 980円、9980円、19980円…….. |
ジャストプライス | 1,000円、10,000円、20,000円…….. |
「端数価格」は大台割れ価格とも呼ばれ、桁をひとつ下げることでお得感を演出する手法です。
例えば“980円”と“1,000円”では、実態以上に前者が安く感じられます。
また「ジャストプライス価格」は、端数のない値段にすることで利用者が料金を計算しやすくなり決断を早められるという手法です。
料金を設定する際には、取り入れてみると良いでしょう。
値段を決める際の注意点
値段を決める際の注意点をご紹介します。
誤った料金設定による経営の失敗を避けるためにも、しっかり確認しておきましょう。
小規模サロンは相場より安くしない
前提として、メンズエステ経営では値段を安易に安くするのは避けるべきです。
特に個人や自宅などで行っているような小規模サロンの場合は、相場を下回るような料金設定にすると失敗する可能性が高くなります。
なぜなら資金や人材が限られている小規模な店舗は、薄利多売には向いていないからです。
また低価格により獲得できる客層はリピーターになりにくい傾向があり、売上が安定しづらいでしょう。
そのため戦略としては、相場より料金設定を高くして客単価を上げることが求められます。
ただし、値段を高くするだけでなくしっかりと付加価値をつけることが重要です。
つまり低価格による集客ではなく、相場以上の料金設定に見合ったサービスの提供を目指すのがメンズエステ経営における正しい考え方となります。
メンズエス店の集客の方法についてはこちらの記事で解説しているので、ぜひ一読して取り入れてみてください。
主観で価値を判断しない
料金設定の際に、主観を判断材料にするのは避けるべきです。
なぜなら集客において大事なのはターゲット層の価値観だからです。
例えば「この料金なら安い」と自分で思ったとしても、ターゲットとなるメンズエステユーザーからすると高く感じるということも考えられるでしょう。
そうして自身とユーザーとの間で料金に対する価値観にギャップが生じてしまうと、集客の弊害になる可能性があります。
後から価格を変えるのは簡単ではない
開業後、料金は容易に変更できるものではありません。
なぜなら値上げは、客離れを引き起こすからです。
そのため後から変更できると考えず、初期段階で慎重に料金を設定する必要があります。
イベントやクーポンなどを活用すれば値下げは簡単にできるので、低め寄りは高めに設定すると良いでしょう。
まとめ:メンズエステの料金は高め設定するのがポイント
メンズエステの料金設定について、考え方や注意点などを解説しました。
メンズエステ経営で成功するには、料金を高めに設定するのがポイント。
競合よりお得な料金にするのではなく、「高い料金に見合った店舗独自の高品質なサービスを提供する」という考え方が成功の鍵です。
メンズエステの開業を検討している方は、ぜひ本記事を参考に料金設定を検討してみてください。